地域の人たちのシンボルツリーとなっている、大きな『なんじゃもんじゃの樹』のある庭園と建物周辺の環境整備を行いました。

この敷地に庭園と建物ができたのが2000年前半。
お食事処として利用されていたところを、今回の施主さんが新たに借りて6月から韓国料理とうどん屋さんをオープンします。
当時の植栽たちが大きく育ち、ここ数年は手入れが間に合っていなかった模様。
全体的に風通しが悪く、外から見ると、中に何があるのかわからないくらいでした。
作業内容
今回は4月28日(金)、29日(土)の2日連続で作業を実施。
28日(金)は敷地内の樹木を全体的に剪定し、風通しを改善しました。

剪定は植木職人さんにお願いし、参加者・スタッフは以下の作業に着手。
- 庭石の周りの水脈
- 樹木周りの樹勢回復の為の点穴
- 外周の水脈と点穴
水脈や点穴には、剪定された枝や葉を用いて、全て敷地内で再利用します。

庭石周りの水脈作り
長年の雨で石の周りに堆積物が溜まり、地中に根が絡みすぎて詰まりを生んでいます。
ここに点穴、水脈を入れることで根切りをして、空気を通していきました。

石の表面が出るように堆積物を取り除いていくと、実は石の階段があったことが判明。

これらも移植ゴテやマイナスドライバーを用いて石が見えるようにし、水脈を全体的に入れました。

樹勢回復のための点穴
樹勢回復のための点穴は、枝の先の真下を目安に。
地上と地中がミラーになっていると考え、根の先に空気が届くように意識します。

ここの敷地を地図で見ると、敷地の奥(西側)から入り口(東側)の方へ、桂川が並行して流れています。
大きな地形で見ると、水は川の流れる方向へ引っ張られているので、敷地内の水も入り口の方向へ寄せられていく格好。
そのため、点穴も水の流れていく方(入り口)へ行くほど、深く掘っていくようにしています。
入り口周辺の点穴は1メートルくらいの深さ。
これらの点穴には、カナデコを用いて更に深い穴を地中にあけ、深い水脈へと繋げていきました。

入り口のスロープの処置
入り口のスロープも同様に、石の周りの水脈と点穴の処置です。
先述の通り、入り口に向けて水が集まってきています。
そして、なんじゃもんじゃの樹がここにあり、この樹が根を深く入れていますが、水が根の回りでぐるぐる滞留している状況。
これらはコンクリートと石によって水が堰き止められているために起きており、このあたりは土がベトついています。

スロープの石のまわりには水脈を入れ、樹木の周りには点穴を入れて空気と水の通りを改善しました。

施設の裏側

ちなみに、この施設の裏側(北側)数十メートルのところに鉄塔があります。
鉄塔は磁場が強いため、この影響を受けて施設の裏側は藪化していました。
ここも藪払いをして点穴。

炭を多めに用いて磁場調整を試みています。
今後、場に変化があるのか検証していく予定です。
作業後
2日間の作業を終え、敷地内はこのようになりました。




施主さんからは
「16年前、当時の姿が見えた。人が集まることで姿が変わっていくことを目の当たりにできた。」
との感想をいただきました。
今回の処置でこの場が良い方向へ行くのか、はたまた悪い方向へ行くのか。
場が馴染んでくるまで1年くらい様子を見ていくことが大切です。
1度で終わらせず、今後も定期的なメンテナンスや追加の処置を行う機会を作っていきます。
施工情報
- 施工日:2023年4月28日、29日
- 場所:山梨県上野原市
- 担当:藤井麻紀子