シュタイナー学園高等部剪定工事レポート

シュタイナー学園の校庭の高木、花壇の低中木の1日剪定工事を行いました。

担当は奈良武さん(大地の再生 関東甲信越副支部長、大地の再生士)、藤井麻紀子さん(同相談役、大地の再生士)。

昨年夏に現地の見立てを行い、1日工事としてできる範囲として、校庭の敷地全体に風を通す工事とさせていただきました。

晴天に恵まれました
晴天に恵まれました

大地の再生の職人の他、学園の先生・生徒・保護者、大地の再生 関東甲信越のサポートスタッフ、一般参加者、約20名が現場に集合。

まずは現地の見立てから。

校庭、校舎を一周して場の状態を確認していきます。

校庭の外周を歩いて植栽の状態をチェック
校庭の外周を歩いて植栽の状態をチェック

外周はコンクリート壁で作られており、壁とフェンスのあいだに植栽エリアが存在します。

これらの植栽の状態を確認。

コンクリート壁により土中の水と空気の流れが遮断されるため、この壁の上部は植物にとって育ちにくい環境になりがち。

コンクリートの際の土の状態を手にとって感じてみます
コンクリートの際の土の状態を手にとって感じてみます

見た目の印象を参加者に伺ってみると

「荒れている感じ、汚い感じ、ボサっとした感じ」

といった表現がありました。

際の土を触ってみると、サラサラ、パサパサで、手で触れるたびに土が壁下にこぼれ落ちていく状態です。

この場所から少し離れて全体を見渡すと、植栽が多くある場所では草木の印象が落ち着いており、土の乾燥状態もそれほど悪くはありませんでした。

壁上の植栽も風通しのための軽い剪定を行いました
壁上の植栽も風通しのための軽い剪定を行いました

植栽がないエリアほど乾燥や草木の荒れが酷くなっており、植栽のある・なしと環境のよし・あしの関係を実感してもらいました。

大地の再生の見立ては、五感を用いて、その場所を知る・見ることが大事(藤井さん)。

その場所がどうなっているか、何が起きているのか。

そこを見てどう感じるか。

自分の感覚に意識を向けていくようにします。

校舎の北側もコンクリート壁。
校舎の北側もコンクリート壁。

校庭の裏側もコンクリート壁です。

土の地面は長年踏み固められ、落ち葉が堆積しています。

水が浸透しない状態なので、雨のたびに地面を水が跳ね、コンクリート壁に泥がつき、そこに苔が生えています。

コンクリート壁に泥が跳ね、そこに苔が生えた状態
コンクリート壁に泥が跳ね、そこに苔が生えた状態

ここでも参加者に感覚を聞きましたが、

「冷えている、暗い、湿っている」

などの声があり。

この場も水脈や点穴で改善が可能でしたが、今回は剪定工事が主目的のため、今後の提案とさせていただきました。

校庭に戻り、剪定開始です。

西門のイチョウの木の剪定
西門のイチョウの木の剪定

西門のイチョウの木から着手。

「毎年路上に銀杏が大量に落ちて清掃が大変!」

とのことでとのことで強剪定の要望を受けていましたが、時間の都合で難しいこと、更に枝が暴れてより環境を悪化させる恐れがあることから、フェンス周辺の枝抜きまでとしました。

南西の際にある桜の剪定は、フェンスに絡む蔓も払いながら風通しを改善しました
南西の際にある桜の剪定は、フェンスに絡む蔓も払いながら風通しを改善しました

次に南西部の桜。

先で絡んでいたり下を向いているもの、枝が詰まっている枝を中心に抜きました。

南西部の桜、風通し後
南西部の桜、風通し後

南東部の桜とイチョウの木々も、同様に枝抜きしていきます。

絡み、詰まっている枝を見極め
絡み、詰まっている枝を見極め

電線に絡んでいる枝は流れを読みながら、丁寧に慎重に抜いていきました。

電線まわりがスッキリ
電線まわりがスッキリ

南側の道路に迫り出し気味だった椿などの中木も、風通し剪定を行いました。

軽く目通しが効く程度に枝抜き
軽く目通しが効く程度に枝抜き

メインの場所の処置を終え、残りの樹木も風通し改善を進めました。

基本的に、どの木も大規模に剪定をする必要はなく、根回りの点穴や水脈処置の方が木々の状態を改善するには効果的と見立て。

その上で、枯れてしまっている部分のみ、今後の倒木リスクを考慮して取り除いておきました。

手前中央が枯れていたため、倒木で屋根を破壊する前に取り除き
手前中央が枯れていたため、倒木で屋根を破壊する前に取り除き

これらの作業で出た剪定枝は、すべて木の根元に敷き込みます。

根回りの点穴をメンテナンスしつつ枝をしがらませて敷き込み
根回りの点穴をメンテナンスしつつ枝をしがらませて敷き込み

この木の根元には以前から生徒さんが点穴をあけてくれていたので、詰まってしまった点穴は手直しをして全体を整えていきました。

立ち枯れた幹も根回りのしがらみに
立ち枯れた幹も根回りのしがらみに

校庭の方へ迫り出してしまうと生徒さんの運動や活動時の障害になってしまうため、できるだけフェンス寄りを意識しつつ仕上げました。

剪定した枝はすべて敷き込みました
剪定した枝はすべて敷き込みました

校庭のほぼ中央にある桜の木。

樹齢100年を優に超えている地域のシンボルツリーです。

点穴に焼き杭を入れ、地中に打ち込みました
点穴に焼き杭を入れ、地中に打ち込みました

樹勢回復を目的に、根回りに点穴、焼き杭を地中に打ち込み、ここも剪定枝、落ち葉、炭を敷き込みました。

枝で柵を作りながら、所々に枝を地中に刺して、水が浸透するきっかけを作ります。

桜の木の根回りの仕上げ
桜の木の根回りの仕上げ

できればもう一回り大きく円周に水脈を入れたかったのですが、生徒さんが日常的にスポーツで利用する場所のため、安全のため処置は控えました。

ちなみに学園内には、この桜の木の生態を観察、学習しているチームがあるようです。

この処置が、彼らの新たな学びの機会になれば良いです。

高木の剪定と並行して、花壇の通気浸透改善も行いました。

学園の保護者、一般参加者向けに花壇の通気浸透改善処置をレクチャー
学園の保護者、一般参加者向けに花壇の通気浸透改善処置をレクチャー

その場や、人それぞれにあった手道具を使って穴をあけ、炭や枝を入れていく作業を実施。

植栽に溜まった落ち葉を取り除いたあと、その落ち葉はそのまま、植栽の根元にグランドカバーとして置きます。

  • 自分のものが朽ちていくのがその木にとって自然
  • あるものはそのまま活かす
  • どかさない、除かない
  • 水や空気の詰まった部分のみやる

これをポイントに作業を進めました。

芝が際から迫り出していたところは、際に水脈と点穴を入れました。

花壇の水脈
花壇の水脈

校舎前の木々は参加者さんにて風の剪定。

「4本だけ抜くならどうする?」というお題に向き合い、それぞれ4本だけ枝抜きを行いました。

4本だけ枝抜き。根回りには移植ゴテで点穴→炭を入れてあります
4本だけ枝抜き。根回りには移植ゴテで点穴→炭を入れてあります

工事以前から剪定して溜め込んでいた枝は焚き火にして、消し炭に。

火消し中
火消し中

今後、保護者さんらが作業をするときに利用してもらいます。

陽が暮れる前に作業は無事終了。

多くの方の結作業により、校庭全体の風通し、通気浸透改善の処置を行えました。

シンボルの桜の前で記念撮影。

1日お疲れさまでした
1日お疲れさまでした

この春夏、木々の変化を楽しく見守りたいと思います。

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