庭のお手入れ講座〜ガーデニングや家庭菜園をもっと豊かにする方法〜レポート

山梨県上野原市にあるアンニャモンニャでは、2023年5月に大地の再生講座を開催し、敷地内の植栽の風通し改善と、土中の通気浸透改善を行いました。

>>当時の様子はこちら

それから3か月が経過。

当時施工した水脈の詰まりが見られ、植栽も手入れの時期を迎えていたため、「庭のお手入れ講座」のテーマでメンテナンスを行いました。

見立てのポイント

敷地内の風通しについてフィールドワーク
敷地内の風通しについてフィールドワーク

まずは敷地を歩いて各場所の状況を観察しながら、風(空気)や水の通り道の見立てを学んでいきました。

風と水は連動しているため、敷地全体に風が通るようになると水も動き、風と水の動きを感じて樹や草が程よく育ち、その場全体が心地よい場所になっていきます。

逆に、風が滞留していると水も溜まってしまうので、場全体がどんよりと重たい感じになります。

風通しを良くすることで、場の状態を良くしていくことができるようです。

敷地の風通しを考えるときの見立てポイント
  • 風や水が最も通るのは、何もないところや低いところ。道路や人の通り道がそれにあたる。
  • 排水の場所(U字側溝など)でも、水が流れることで空気が引っ張られているので、風が動くところ。
  • 風も水も高いところから低い方へ流れると考え、その風の流れの行き先を、樹や石、草が塞いでいないか探す。
  • 敷地全体に目を向けて、風の入り口と出口を確認する。
  • 風の流れは一方向で考えず、縦横斜めに風が入って出ていくルートを考えていく。
  • 日の「入り」と「出」の場所によっても、空気と水の流れが変わることを認識しておく。
  • 敷地全体で見たり、周囲の地形で見たり、部分的に見たり。マクロとミクロの視点を行ったり来たりさせながら、風や水の塞がり(詰まり)を見つける。
  • そして、それをどのように通していくかを考える。

見立てのポイントに沿って通し方を決め、いざ実践!となったときに意識することは「手数をいかに減らすか」。

今回のような庭のお手入れはコツコツ続けていくが必要なので、少ない労力で持続させていくことが大切です。

写真奥にあるのが鉄塔、その周辺が藪化しています
写真奥にあるのが鉄塔、その周辺が藪化しています

ちなみに、敷地の裏側に鉄塔があります。

この鉄塔の近くは、磁場の影響を受けて草が暴れやすい(藪化しやすい)場所になるとのこと。

敷地の裏側(北側)の藪
敷地の裏側(北側)の藪

風の草刈りで全体的に風通しをよくしたいところですが、他人の土地となるため、今回はフェンス付近に止めて風を通しておきました。

庭で行う風の草刈りのポイント

風の草刈りレクチャー

庭に戻って、風の草刈りを行いました。

ここの庭は大小さまざまな石がたくさんあります。

草で覆われている石は、しっかりと顔を出すように。

石や木には風がぶつかるので、その石の際(きわ)を開いてあげると風が通りやすくなります。

開いたあと(刈ったあと)の草は、土が見えてしまっている場所に被せてグランドカバーにすることで、捨てずに済みます。

道路との境界部分の草刈り
道路との境界部分。フェンス、石の周りの草を刈って、道路から敷地への風通しを改善しました。

花を育てている場合、花も刈ってしまっていいのでしょうか?と参加者さんからご質問。

「花には花の見せ場の季節があるので、その見せ場を残してあげる(刈らないで、残す)のが良い(講師:藤井さん)」とのこと。

庭で風の草刈り

平地で行うときよりも庭で行う風の草刈りは丁寧に行う必要があり、仕上げを細かく行うことで風通し+見栄えの良い場所になっていきます。

水脈を入れて空気と水を動かす

風の草刈りのあとは敷地全体の水脈作りを行いました。

風通しを考えたとき、この建屋が風と水を溜めやすい場所にあります。

茶色の建屋
茶色の建屋が水と空気を溜めやすくしています

風や水は高いところから低いところへ動くので、この建屋のところで風も水も溜まってしまいます。

ここに「抜け」を作れると良い場所に変わるため前回(2023年5月)水脈と点穴を入れましたが、その後の雨風で詰まりがあるため、メンテナンスに着手。

水脈メンテナンス

炭、竹、瓦、枝木、笹を組み合わせて作り込みました。

建屋のまわりに施工中の水脈
建屋のまわりに施工中の水脈

点穴は50cm強の深さに掘り、水が溜まりやすい場所なので、一番下にレンガを縦にして詰めて浸透機能を設けました。

その上に竹や枝で土圧を支え、かつ枝葉で泥越し機能を持たせて、仕上がりがこちら。

建屋の水脈に入れた点穴の仕上がり
建屋の水脈に入れた点穴の仕上がり

また、点穴を作っても雨水・泥が流れ込んですぐに詰めてしまった場所は、竹を点穴の内部に沿わせる様に配置し、中に瓦・石を詰めて筒の様に仕上げました。

筒状の点穴の施工中
点穴の内周に竹、中に石を詰め、泥越しに笹を利用

建屋の前の水脈・点穴はこんな仕上がりになりました。

建屋前の水脈の仕上がり
建屋前の水脈の仕上がり

庭の中には起伏があるので、斜面変換線に水脈を入れて空気と水を動かしていきます。

庭石の際(きわ)に移植ゴテを入れていきます
庭石の際(きわ)に移植ゴテを入れていきます

斜面変換線にあたるところに石が置かれているので、この石のまわりに移植ゴテを用いて溝を掘っていきます。

掘ってみると浅い根が広がっているので、石側とその向かい側を移植ゴテの先で切る。

その後、溝に炭を浅く入れて、周囲の小枝や落ち葉を入れていく流れです。

今回は落ち葉・枝木のチップがあったので、これに炭を混ぜ込んだものを溝に入れていきました。

石の際にチップを入れる

お店の入り口もメンテナンス。

砂利の下の防草マット
砂利を取り除くと、地面に防草マットが敷かれていました

前回から詰まってしまったところがありますが、前回水脈を通したことでその場所の状態は変化しているので、改めて水脈を施すことでさらに改善していくと思われます。

入り口の石の際のメンテナンス
マイナスドライバーで縦に深い穴をあけて地下の水脈へ繋げます

これをやったら絶対大丈夫というものはなく、その場に良いと思えることをその都度施し、観察→メンテナンスを繰り返していくことが重要です。

持続性を保つために「少ない労力で行う」ことを意識していくのが良いと思います。

今回の講座はこれで終了です。

最後はアイスクリームを食べながら振り返り。

振り返り中

全員で記念撮影。

講座終了後の記念写真

ちなみに、ここアンニャモンニャの入り口に構えるなんじゃもんじゃの樹は、皇居から移植されたもののようで、全国で2番目に大きいとのこと。

樹齢も90年ほど。

ぜひ、上野原のシンボルツリーを見に、お店へお立ち寄りください。

>>アンニャモンニャの詳細はこちら

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